ノスタルジアということ・・・・

ノルタルジアという言葉に私が初めて触れたのはたしか、中学の教科書にあった萩原朔太郎の詩だった。
「郵便局」 という題の付いたそのもの悲しい詩は、知らぬ間に私の心に巣喰い、私の中のノスタルジアという言葉の定義に少なからず影響を与えた。
そこには私の知らない郵便局があり、人々の切ない日々の営みが都会に住む中学生だった私の胸を打った。 もちろんすでにそのような郵便局などどこにもありはしない。
他に通信手段のない萩原朔太郎が生きた時代の郵便局なのだろう。いや、それですら無いのかも知れない。 観念の中にだけある郵便局であるからこそこの詩は時代を越え人の心を打つのだ。
私はその古い時代の詩人から都会の中学生にまで環境や世代を越えて力をふるおうとする共通した根源を知りたい。
その為に、そのようなものをひとつひとつを目に焼き付け、記録に留めておきたいと思う。   by Hiro



郵便局といふものは、港や停車場やと同じく、人生の遠い旅情を思はすところの、悲しいのすたるぢやの存在である。局員はあわただしげにスタンプを捺し,人人派窓口に群がつている。
 
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